オリコン50年「ランキングに不純物は入れたくない」:朝日新聞デジタル

オリコン50年「ランキングに不純物は入れたくない」:朝日新聞デジタル

色々と反応を巻き起こしている本インタビュー。
俺も読んで「何いってだコイツ」というのがまず感想だった。
が、そもそもオリコンランキングとは何なのか、知っているようで知らないな、と思い、簡単にだが調べてみた。
そもそもオリコンが目指していることが最初から俺の求めているものとずれているのでは、という気もした。

オリコンランキングを提供しているオリコン株式会社の会社概要には次のようにある。

当社グループは、Consumer Oriented (消費者本位)な立場から、最も信頼性の高いランキング情報を提供することによって、社会からの信頼を獲得し、文化・社会の発展に貢献することを社是としております。

「消費者本位な立場から、最も信頼性の高いランキング情報を提供」。
穿って読んでしまえば、消費者本位な立場とは何か、信頼性とは何に対する信頼性なのか、肝心な部分をはっきりさせていないので、何も言っていないに等しい。
ただ、公式HPであるORICON STYLEのサブタイトルに「ヒットが見える トレンド情報サイト」とあることから、ランキングを通じて「いまのヒット作は何か」という情報を提供することをオリコンチャートの目的と捉えてよいように思う。

さて、インタビューだが、

 CDの枚数を集計して順位をつけるということが、ヒット感をどのぐらい象徴できるのか。残念ながら、昔に比べて小さくなってきているのは否めません。ただ、なぜ私たちがCDランキングというところにとどまっているのかというと、一言で言えば、「あいまいなデータを入れたくない」からです。

インタビュー内で小池氏は上のように答えている。
オリコンHPによれば、

オリコンの音楽 (シングル、アルバム)・映像(DVD、Blu-ray Disc)ソフトランキングについて | ORICON STYLE

音楽・映像ソフトを販売している全国約33,110店の調査協力店(CDショップ、レンタルや書籍などを扱う複合店、家電量販店、コンビニエンスストア、ジャンル専門店、インターネット通販)の店頭、イベント会場等での販売実績をもとに、全国の週間推定売上枚数を算出したものです。
集計対象は発売元もしくは販売元によるJANコードが付与されており、かつ日本国内向けに販売された商品としております(日本国外への発送商品は対象外となります)。また、2015年以降に発売される作品より、税込250円以上の商品を集計対象といたします。
集計期間は毎週月曜から日曜までを対象としており、デイリー推定売上枚数に週間報告での協力店からの売上枚数も加え、最終的に週間推定売上枚数を算出しているため、「デイリー推定売上枚数の1週間の合計=週間ランキングの推定売上枚数」ではありません。

JANコードの付与が前提であり、またインタビュー内容からも、オリコンランキングはCDのみをカウントしているということになる。

CD売上はもっとも正確なデータが取れる、だからCD売上ランキングにとどまっている、という主張はわかるようで、わからない。

なぜ我々がオリコンに失望しているのかと言えば、私たちが「人気ランキング」だと期待しているものが実際には「特定のルートでの集計値を元にした、ただの推定CD売上枚数集計」でしかなかった、というところだろう。
オリコンサイドは「信頼できるデータかどうか」にこだわるが、私たち消費者からすれば「信頼できるデータがいまはCD売上しか取れない」というのはただの怠慢か言い訳にしか読めないし(むしろ配信サービスのほうが間違いなく正確なデータをもっているはずだ)、そもそも消費者本位な立場を語るのであれば、消費者にとって重要なのは「何か面白い音楽、新しい音楽、または誰かに聞かせたい、共有したい音楽はないか」を知るための人気度・流行度であり、チャートの信頼度はその提供における条件にすぎない。
人気度・流行度を計るのに物理的に取得可能なデータがあるのに、信頼度を理由にそれを利用しないというのは本末転倒だろう。

小池氏がデータの信頼性にこだわるように見えるのは、それが疑われるような流れがここまでにあったからであろうと思われる。
まあ、このあたり↓がその筆頭なのだろう。
【オリコンうがや訴訟9】ソニーME元社長が証言 オリコンのチャート操作、働きかけ日常化:MyNewsJapan

この話の信憑性がオリコン側の主張のそれよりも上なのかはわからないし、深く立ち入るつもりも今はないが、業界の中でも最大規模の商業的駆動力をもつ元データ非公開のランキングが、まったくそれらの影響力から無謬のものであると信じるのは少し純朴すぎると考えるのが自然だろう。

ただ、繰り返しになるが、チャートの信頼性が問題になるのは、そのチャートが信頼しうる基準として人々に参照される限りである。
オリコンがまだかろうじて権威らしきものと認識されているのは、おそらく「他にないから」という消極的な理由による部分も少なくないのではないか。
このまましがらみに囚われてCD売上のみというスタイルに固執するのであれば、音楽におけるオリコンの居場所は、遠からず消えるだろう。
まあ、商業として音楽が成立しなくなるほうが先かもしれないが。