“あなたたちは私の憎しみを得ることはできない”(antoine leiris)

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“あなたたちは私の憎しみを得ることはできない” — Japanese Official — Medium

テロで妻を失ったレリスさんのメッセージ和訳全文:朝日新聞デジタル

パリ同時多発テロで妻を亡くしたフランス人ジャーナリストのantoine leiris氏がフェイスブックに投稿した、実行犯へのメッセージが話題となっている。
後者の朝日新聞デジタルが取り上げたことで大きく広まったようだが、俺は前者のMediumでDominick Chen氏が訳したものを先に読んだ。

で、前者のほうが良いように思う。
朝日新聞の和訳だと微妙な違和感がある。ほんの小さな単語選択の違いなのだが。
例えば前者では「天国」という訳を巧妙に避けている。(ありもしない)宗教対立的な色彩を少しでも読み取られないようにとの意図だろう。leiris氏の文意は明らかに暴力に対する気高き理性の称揚、我々の愛と精神は不可侵であるという宣言に近いもので、それを、ともすれば特定宗教的な意味合いを帯びる「天国」という語に訳してしまうのは拙い。
また、それ以上に「(私という)プレーヤーはまだここにいる。」という訳は、「これ以上君たちに時間を割く気はない」という文と一貫性がない。”Perdu. Même joueur joue encore.”はDominick Chen氏訳の「何度やっても同じだ」、または毎日新聞の訳のように、「私はこれまでと変わらない」と訳するのが適切だろう。

朝日新聞デジタルは元のleiris氏のFBコメントの訳だけを載せているが、Dominick Chen氏の記事にはleiris氏のインタビュー動画と一部抜粋訳が追記されている。
氏の本意を読み取るうえで、こちらの記事のほうが有益だろうと思われる。
コメント欄で“faire l’affront” という表現を「立ち向かう」と「侮蔑する」のどちらで訳すべきか、文意から言って前者である、としているが、これも正しい判断だと感じる。