妊婦加算について思ったことをつらつらと書いておく。

妊婦加算についてはまず、

  1. 「妊婦に対する配慮を行う医師側への手当」的面
  2. 「それを妊婦本人に請求すること」

に分けて考えるべきだと思われる。Twitterでは産婦人科医らから1の正当性が訴えられていて、それ単体は確かに分かる話だが、制度としてそれを2の形で運用するか否かは別の問題である。いま反発されているのは2であって、それに対して「じゃあ俺たちにタダ働きしろってのか」的に反論するのは、セットで扱う必要のないものをそうしてしまっている。

2については、別のプールから支出するという選択肢は無かったのか、という問いがあってよいし、現在のまるで「妊娠したのが悪い」とでも捉えかねられないような建付けは望ましいものではない。また、他医療にも加算があるというが、病・怪我と妊娠とで、その医療コストの負担者について同列で語るのは疑問がある。

雑に言えば、「病気/怪我しないよう気をつけてくださいね」とは言われる筋合いがある(ことが多い)のだが、
「妊娠しないよう気をつけてくださいね」と言われる筋合いは誰にも一切ないのである。祝福されてしかるべきものがむしろ疎まれるようなチグハグさがここにある。
そりゃ妊婦を診るのが大変なのは分かるのだが、それを本人にダイレクトで打ち返すのは少し違うんでないの、という気持ちにどうしてもなってしまうのである。

2はじゃあどこから払うんだよと言われると、他に妙案でもない限り最終的には税で良いと思う。「たかが数百円でしょ」的に2を是認する人がそこそこいるのであれば、たかがそのくらい税で負担すればよいのだし、また受益者負担という狭い了見から見てさえ、母体が健康に保たれることで社会全体が得る利益は大きい。
子どもを産まない人にとっては関係ないという意見が散見されるが、自国の人口の増減に関わるような事態に完全に無関係で居られる人間は存在しない。無論、女性に対し社会なり何なりのために産めと他者が命ずるのも間違いなのだが、しかしその選択によって共同体構成員のほぼ全員が間接的に利益を得ることは否定できない事実である。

妊婦加算の説明として「訴訟リスクを避けるため」という主張があるが、ちょっと意味がわからない。「わずかでも訴訟リスクを抱えることへの手当て」ということならまだ分かる。
が、やはりそれを妊婦本人に請求するかどうかとはまた別問題だし、今のところ悪手であると思う。

こうなると気になってくるのが立法の過程で、なぜこういう仕組みとしたのか。2の仕組みとする何かしらの理屈が他にあるのか、または他の選択肢が選べない理由があり、苦肉の策であったのか?