「パナマ文書」の衝撃

著名人巻き込む「パナマ文書」の衝撃、各国政府が調査開始 | ロイター

租税回避地への法人設立を代行するパナマの法律事務所の金融取引に関する過去40年分の内部文書が流出。各国政府は4日、各国指導者や著名人による脱税など不正取引がなかったか調査を開始した。

「パナマ文書」と呼ばれる機密文書にはロシアのプーチン大統領の友人のほか、英国、パキスタンなどの首相の親類、ウクライナ大統領やアイスランド首相本人に関する記載があり、波紋は世界中に広がっている。

「パナマ文書」スキャンダル、早わかりQ&A – WSJ

「パナマ文書」とは何か

 3日深夜に公表された膨大な量のリポートで、約140人の公人、企業幹部および著名人と、英領バージン諸島やパナマなどオフショア・タックスヘイブン(非居住者向け租税回避地)にある海外資産との関係が暴露された。名指しされた一人であるアイスランドのグンロイグソン首相が辞任した。一方、プーチン・ロシア大統領の報道官は批判を一蹴した。今後、多くの政治家らに対する圧力が強まる可能性がある。

 暴露までの経緯は

 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)によると、76カ国の370人以上のジャーナリストから構成されるICIJが、何百万点にも上るパナマの法律事務所の記録を入手した。この法律事務所はオフショアの持ち株会社を専門に扱っていた。ICIJはこの記録に基づき、一連の記事を出稿。これと平行して、一部の報道機関も記事を出した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、記録の内容を独自で検証してはいない。パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」は不正行為を否定している。

 こうした行為は違法か

 一般的に、オフショアの会社を持つことは違法でないが、各メディアによると、一部の仲介者は資産や疑わしい取引を租税回避地に隠すことで顧客を保護している。政治家に関して言えば、その資金の入手経路や使途が大きな問題となる。

「パナマ文書」、中国当局が報道規制 記事削除や検索制限も | ロイター

中国国営メディアは「パナマ文書」をほとんど報道していない。中国の検索エンジンで「パナマ」をサーチすると、この件に関する中国メディアの記事が出てくるが、リンクの多くは機能しないか、もしくは、スポーツスターをめぐる疑惑に関連した記事に飛ぶようになっている。

アイスランド首相が辞任、「パナマ文書」の資産隠し疑惑で | ロイター

アイスランドのグンロイグソン首相は5日、辞任を表明した。党関係者が明らかにした。同首相をめぐっては、パナマの法律事務所から流出した機密の金融取引文書、いわゆる「パナマ文書」で、タックスヘイブン(租税回避地)を利用した資産隠し疑惑が浮上。議会前で数千人が抗議するなど、辞任要求が強まっていた。

経済制裁に抜け穴提供か 「パナマ文書」の法律事務所 – BBCニュース

国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が大量の資料を暴露した中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」が、米財務省が経済制裁の対象とした北朝鮮やイラン、ジンバブエなどの33の個人や企業と取引を行っていたことが明らかになった。

米ファイザー、アラガン買収計画を撤回 政府の税逃れ規制強化で | ロイター

ファイザーは買収を断念した理由として、米財務省が4日発表した企業の課税逃れに対する規制強化を挙げた。同社はアイルランドへの本社移転で年間10億ドル程度を節税できると見込んでいたが、新規制でこうした効果が受けられなくなると判断した。

とんでもねーリークが出てきた。BBCが記事中で提供する下図を見れば、「パナマ文書」と呼ばれる今回リークされた一連の資料の膨大さが分かる。


Panama Papers Q&A: What is the scandal about? – BBC News

今回リークされた文書は、あのスノーデンによる告発の元となった資料をデータ量で100倍したより大きい。もちろん、データ量が多ければ文書として重要であるというわけではないが、それが「過去40年にわたる有力者たちの租税回避、あるいは脱税の証拠となる文書」とすれば、重要性は指摘するまでもないだろう。

まだ日本国内の人名・企業名は具体的に挙がってきていないようだが、遠からずそれも明らかになるだろう。

今回の文書の流出経緯については、在英ジャーナリスト小林恭子氏の記事が詳しい。記事によれば、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)によるパナマ文書の分析プロジェクトには、日本から共同通信と朝日新聞も参加したとのこと。
パナマ文書はどうやって世に出たのか : 小林恭子の英国メディア・ウオッチ


(2016.04.10追記)
パナマ文書に日本企業の名前があったという情報が流れているが、現在パナマ文書にアクセス出来るのはICIJか、文書の分析に参加している各国報道関係者のみ。どこから情報を得たのだろうかと追ってみると、2013年のオフショアリークスの際に挙げられた企業名を今更パナマ文書のものと誤解して書いているようだ。

そんなもんかもなあという感じで騙される数歩手前だった、危ねー。
と言いつつ自身ではいまだに元ソースに当たれていないので、判断保留。

また、今回の件で問題なのはパナマ文書に含まれる脱税などの違法行為であって、タックスヘイブン(tax haven)を利用した租税回避自体は問題ではないとする見方がある。しかし各所ですでに指摘されているように、たまたま現在合法であるということは必ずしもそれが道義的に真っ当であることを意味しない(たとえば危険ドラッグ)。

納税に関する道義的な真っ当さとはなにか?

  1. 運(チャンス/生得的能力)
  2. 努力(スキルアップ)
  3. 上2つをドライヴするために必要な広い意味での社会的インフラ(ハード面のインフラはもちろん、教育された労働力の安定供給、治安の良さ、社会の文化的な受容度など)

を、富の生産に関してどう評価するか、そして3をどう維持・再生産していくのか、ということに関する真っ当さである。

これらは社会的正義・自由主義・公共善といった価値とそれぞれ照応していて、たとえば「自分で稼いだ金をなぜ取られなければならないんだ」と嘯く者などは、それが誰かの作ったインフラの上に成り立っていることから目を背けている(違うというなら同じだけの富を火星の荒野で築いてみるといい)。


(2016.05.03.追記)
租税回避地に日本関連270社 パナマ文書、個人にも拡大 – 共同通信 47NEWS

 タックスヘイブン(租税回避地)に関わる「パナマ文書」の共同通信による分析で、日本在住者や日本企業が株主や役員として記載された回避地法人が少なくとも270に上ることが26日分かった。大手商社の丸紅、伊藤忠商事などが記載されていた。株主などに名前があった個人もコーヒー飲料大手UCCグループ代表者ら、大都市圏を中心とする32都道府県に約400人(重複含む)おり、回避地利用が個人にまで広がっている実態が浮かび上がった。