妄想の敵への憎しみで被害者への支援を妨害する行為は恥じるべきだ。

先日取り上げた上記記事だが、反論記事が出ていた。
人権屋によるAV強要キャンペーンをあっさり否定するAV女優たち – Togetterまとめ
まあ、はっきり言うと愚にもつかない記事である。いわく、

「犯罪なら、警察に逮捕させればいい。「奴隷」を海外に喧伝するのは止めるべき。慰安婦問題とくっついて、「性奴隷の国・日本」デマを広めるだけ。もし、それが目的なら、プロパガンダにAV嬢を悪用した反日策謀に過ぎない。」(まとめ主CatNA氏の発言)

「とりあえずうちの事務所では、誰かに強要されて所属してる人なんて一人も居ないと思います」(AV女優の発言)

「なんか全然実際を知らない第三者が、あたかも知ったかぶりのお顔で、色んなこと言っちゃってたんですねー。」(同)

「少なくとも私が見ている今のAV業界は「とてもクリーンです」」(同)

「元AV女優が人権屋弁護士に反論
*AV業界の聞きとり調査をせず、極端な被害事例だけを根拠に報告書を作った疑いが濃厚
*ズバリAV潰しが目的では?
*伊藤弁護士はAV女優の人権に本当は興味すら無く、AV女優の権利は剥奪したいのでは?」(まとめ主CatNA氏の発言)

要するに「人権屋弁護士があたかも日本が性犯罪への親和性が強い国であるかのようにでっちあげ、独りよがりな「被害者支援」と国益の毀損を行っている」という主張だが、正直ここまで引用してみて馬鹿馬鹿しくなる。

AV女優のものとされるツイートを取り上げ、「そのようなことはありえない」と言わんばかりだが、単なる一当事者のツイートが彼女らの目にしていない事実についていったい何の証拠能力をもつというのだろうか?

しかも彼女らはある意味での利害関係者であり、発言のツイートは業界関係者が閲覧できる場で行われている。そこで自らの立場を危うくするような発言を進んで行う理由や動機付けはあまりない(実は彼女もある種の被害者またはその予備軍であり、今こそ立ち上がろうと義憤に駆られたのでないかぎりは)。

根本的に、問題点はそもそも現段階での被害者の有無ではない。
AV業界という非常に倫理的・社会的に線引の難しい業態について、そこで弱い立場に置かれがちな人々に関しての適切な対応・措置を社会がいまだ取ることができていないということが問題なのだ。

「実はまだ被害者は誰一人いない、伊藤弁護士の政治的意図あっての嘘または作話である」という命題がもしも真であればどんなによいだろうと俺も思う。伊藤弁護士本人ですらそうだろう。
だが……、事実はまず間違いなく、そうではない。そして被害者の苦難を放置したのは、ほかならぬ我々である。

職業選択の自由としてAV女優をはじめとした性的サービスに従事することを否定はしないが、自らの意思に反して、あるいは十分な判断能力がない状態につけこまれるような形で、性的搾取が行われることは決して許されるべきではない。ここでの「そのようなことはありえない」という態度は、被害者への支援を妨害する行為でしかない。