「図書館はベストセラーをどれだけ買い込んでいるのか?–「村上海賊の娘」のデータを調べたら頭が混乱した話」 – CNET Japan

うーん、これは難しい。

 「公共図書館はベストセラー本を買いすぎ!」と言っても、こうしていろいろな観点から実際に計算してみると、どの観点で見るかによって、結論がけっこう変わってしまいます。

 「公共図書館はベストセラー本、買いすぎでは?」→「均すと1館平均1.27冊ですよ」

 「1つの図書館で38冊とか多すぎ!」→「いや、最頻値は1ですよ」

 「予算比/人口比で多すぎる!」→「では何%、何冊だったらいいんですか?」

個人的には新潮社の佐藤社長の意見にうなずける部分が多い。
楽しみとしての読み物は書店に任せ、図書館は教養・調べ物、あるいは郷土資料といったジャンルに重点を置くべきではないかと思う。
公共施設である図書館への税の投入意図とは何か、と考えたとき、確かにひとつは読書習慣を根付かせるという点があるかと思う。しかし、であればむしろ、公立学校の図書館費の増額という施策を取るべきではないか。

ちなみに、記事中で例として挙げられている岡山市立図書館、実際に資料費の使途は誰でも確認することができる。

図書館HPにもリンクがあるが、市HPで図書館要覧が公開されている。
平成26年度の市全体での購入図書数のうち、日本の小説が占める割合は28.5%、貸出数に占める割合では26.4%となっている。
4分の1強が国内文芸書となっている現状をどうみればよいだろうか。

ただし、図書館の購入状況について、図書館自体を批判しても効果は限定的だろうと思われる。彼らも結局は行政機関の一部であり、来館者数/貸出冊数という指標を突きつけられるかぎり、ベストセラーを買わざるを得ない。
批判されるべきはその評価基準であり、行政側の図書館観だろう。
図書館に携わる人間はむしろ出版界と共闘し、出版文化と図書館の意義を行政に認知させてゆくべきだったのだが、それを成し得ぬままいまに至っている。
その結果のひとつとして、自治体のコスト削減意識による民間委託が進み、図書館職員たちの職を不安定化させているというのは、やや酷だが、因果ではある。