【ネタバレ感想】「スターウォーズ フォースの覚醒」

【ネタバレ感想「スターウォーズ フォースの覚醒」

極めて、本当によくできた、二次創作のようだった。
旧作ファンの視線を意識しすぎて八方美人になっているが、シリーズの基本線は確かに踏まえている。

物語

予想を良くも悪くも裏切らないストーリーだった。オーソドックスだが、驚きもなく第四部・第六部の焼き直しと言われても仕方がない。
テーマは「家族愛と執着/自立」というスターウォーズど真ん中のものだった。

世界観 映像

まさにスターウォーズ。しかし表面がよくできた「まさにスターウォーズ」という書割のようで、確かに美しいのだが、画面の枠の外への創造力を掻き立てられない。
そういえばディズニーの映画の多くも同様に画面外への欲望喚起に乏しい作りだなあ、悪い影響受けちゃったのかなあというと穿ちすぎか。
象徴的な画面はいくつかあった。

キャラクターとテーマ

レイとフィンのバディとしての関係性は見ていて楽しい。
ミレニアムファルコンを初めて発進させた際のご都合主義的な戦果も、ミレニアムファルコンのお披露目であること以外ではさして重要な場面ではないし、お約束と思えばそこまで気にならない。
主人公と相棒に女性と黒人を当てたのは現代的だし、シリーズに新しく加わる作品として新しい視点を取り込めるよいキャスティングだろう(そういえばCGアニメのクローン・ウォーズも異種族の女性アソーカが主人公だった。よく出来ていたのにシリーズ展開が変わったあおりで打ち切りだそうな。残念)。

常識人的な気弱さと正義感を併せ持つフィンは登場人物たちの中でもっとも安定して見ていられた。
そしてレイの表情がいい。この女優は本当にナイスキャストだ。
見知らぬ人々や景色への戸惑い、不毛の地にしか見えない故郷にそれでも帰りたがる強迫的な態度と、フォースの覚醒にともなう強い表情とのギャップが鮮やかなコントラストになっていた。
彼女は親と離れ離れになってしまったこと、親から置き去りにされたことをおそらく10年以上受け入れられず、喪われた愛にすがっている。
しかし故郷を発ち他の世界を目にしたこと、友人や擬似的な父親と出会ったことで愛の喪失を受け入れていく。この愛の喪失の受容とリンクするように彼女はフォースに覚醒する。

カイロ・レンは……もうちょっとイケメンはおらんかったのか(笑)
と思ったがインタビュー映像ではそこそこイケメンなのでわざと神経質そうに撮っているのだろう。
どうでもいいが役者さんはアダム・ドライバーという役名かと思うほどのイケメンネーム。
予告でもっとも印象的だった、夜の林での十字ライトセーバー起動のカットはなかった(よね?)。あのシーンはこれまでの完成した悪としてのシスたちとは異なる、目覚めつつある闇、という印象ですごく期待していた。いやまあ、確かにカイロ・レンは未熟な男だったが、レイのあの目覚める感じをカイロ・レンにも期待していたのだと思う。

レイ、フィンの主人公2人と親子のような関係を築きつつあったハン・ソロ。この「父親」の愛と命を奪っていく場面が今作後半でのもっとも象徴的なシーンとなっている。
おそらく続編ではハン・ソロという「父」(の不在)をめぐって争っていくことになることが予想されるが、今回からの三部作ではそれぞれ監督が変わるとのことなので、また路線が変わっていく可能性もある。

従来スターウォーズでは親愛の情も抑制しようとする禁欲的なジェダイと愛/欲望を肯定するシスという対立軸だった。アナキン=ダース・ベイダーがまさにそうだったが、フォースの担い手たちは深すぎる愛ゆえにダークサイドに堕ちてゆく(cf.うちは一族)。
逆にレイは愛の喪失を受け入れることでライトサイドのフォースに目覚めている。
この愛に対する態度は本作でもしっかりとこれまでの伝統を受け継いだ上で新しい価値を積み上げられているように感じた。
そこからすると、カイロ・レンがダークサイドに堕ちた理由がまだはっきりとしない。ここも次作以降で語られることを期待したい。

その他

特にファーストオーダー関係がわかりづらかった。共和国や帝国との関係等々は伝統の冒頭で流れるあらすじで読み取れないこともないが、作中で背後関係への言及がほぼないために「なんでこうなってるんだっけ?」とふと考えてしまう。このあたりにもやはり画面外への視座の乏しさを感じてしまう。
旧シリーズでは通商連合への対抗としての帝国設立、という政治的潮流が背景にあった。そのあたりの深度が今回では読み取りにくく、世界が横に広がっている感覚が得られなかった。

言っちゃ悪いが殺陣はしょぼかった。
旧作ファンからは脚本やらなんやら批判を受けることの多い新三部作(アナキン三部作)だが、VFXを駆使したアクションは非常に高いレベルにあったと思う。特にエピソード3のラストバトルはフォース戦闘の最高峰といった趣でいまだに印象に残っている。それに比べると、本作は新三部作から旧三部作に悪い意味で先祖返りしてしまった。

レイが覚醒したばかりだということを際立たせるためにあえてしょぼくしたのかなと考えられないでもないが、そんなひよっこに負けるカイロ・レンどんだけ弱いんだと、おめえルークの修行受けたんじゃないんかとツッコみたくなってしまう。
序盤の圧倒的フォースの描写と終盤の殺陣の微妙さが噛み合わないので、カイロが舐めプしすぎた説以外に筋が通らない感じになっている。精神的な未熟さはまだしも戦闘力の低さに説明がつかない。

しかし全体としてはまずまず満足できる出来だった。次作も楽しみにしている。