それでも俺たちにはPowerPointが必要だ、あるいは、あなたたちはジェフ・ベゾスの部下ではない。

PowerPointはExcelと並んでマイクロソフトがつくった最高の道具だ。そりゃ使いづらいところも多いんだが、それを補って余りあるツールである。そこに異論を挟む余地はない。

当たり前だが、あれは道具なのである。
PowerPointがあるがゆえに人は道を誤り無駄な装飾とグラフィカルなアニメーションに走ってしまうのだという主張には賛同できない。PowerPointは銃ではない。単純にあれは書き手が「それが良い」と盛大に勘違いしているだけの結果であって、PowerPointが我々に「こいつを使え」と囁きかけてくることはない(だってあんな分かりづらい位置に置いてあるのだ。手に取ってもいいことはないが万が一のためにとマイクロソフトが用意しておいてくれた、ただそれだけの話なのだ。彼らにも悪意はない)。

余計な情報盛りすぎデコりすぎというのは、ひとえに書き手が悪い。PowerPointは主に説得のための道具であるが、悲劇は書き手がパワポが一体何の道具かわかっていない、あるいはわかっていながらそのために飛び跳ねるキーワードが有効であると勘違いしていることに端を発する。
なぜ書き手がそれを良しとするかというと、見る側にそれを否定されないからだ。つまり見る側の眼も甘い。

一流であるジェフ・ベゾスやシェリル・サンドバーグも言っているのに?
違う違う、彼らはPowerPointを見せられる側の人間だ。彼らが週に一体何度プレゼンを受けアニメーションや議論になんの意味もないテキストで埋め尽くされたPowerPointを見せられるのだろうかと考えれば「もういい」と拒絶したくなる気持ちもわかろうものだ。彼らの立場であればひとつひとつのスライドにダメ出しするよりそもそも道具自体を禁止したほうが効率的だという計算が成り立つ。

あなたがジェフ・ベゾスの部下であれば、よろしい、PowerPointとはお別れだ。だが実際にはそうではない。我々が説得する相手は前例踏襲主義者の上司であり、地域経済から出ることなど考えもしない中小企業の社長であり、数値目標以外に興味のない自治体職員である。そこにおいて効果的であればPowerPointだろうが飲みニケーションだろうがすべての戦力を投下しなければならない。
だいたいジェフ・ベゾスも対外プレゼンでは背景にPowerPointを投影してるじゃねえか。ホントに禁止してんのかよ。
あとビジネスに想いとか要らねえ。少なくともPowerPointもまともに作れないやつの想いに需要あるとは思えん。

結局PowerPointを捨て去ることはできない以上、できるだけ腕は磨いておいたほうがいい。
やみくもにPowerPoint講座のサイトをブックマークするよりは、ある程度まとまった書籍を読むほうがまとまったスキルが身につくだろう。
以下3冊は俺が読んだ中でもおすすめ。このあたりの基礎を身につけられれば、そこそこの規模の企業でそれなりに評価されるレベルの資料は作成できるようになる。

伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルール
高橋 佑磨 片山 なつ
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外資系コンサルが実践する 資料作成の基本 パワーポイント、ワード、エクセルを使い分けて「伝える」→「動かす」王道70
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