ホラッチョだなんだと死体蹴りしてる暇があったら我々はショーン川上氏を見習ったほうがいいのかもしれない。

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我が家では結構高い頻度で報道ステーションを見ていて、ショーン川上氏のコメントを耳にすることも多かったのだが、正直言ってこの人に学がないのではと感じたことはまったくなかった。というか未だに”学歴詐称”といったセンセーショナルなワードとショーン川上氏がうまく結びつかず、同情的な心情ですらある。

いやあ、見事に騙された……のだろうか。
いまだにはっきりと評価を下せない。彼は結局ただのペテン師で、俺は自分が騙されていたことをプライドか何かが邪魔して受け入れられないだけなのだろうか?

どうもここがはっきりしないのは理由があって、つまり、今回の件では彼のアウトプットに破綻や瑕疵があったと指摘されているわけではない、ということだ。

一般大衆や業界人を騙したという点で、佐村河内氏や小保方氏と対比する向きがあるようだが、まったく異なる話だろう。両者がともに本人によるアウトプットを否定されているのに対して、ショーン川上氏は、少なくともこれまでコメンテーターあるいはラジオパーソナリティとしての仕事に大きな疑義を挟まれることはなかった(本業のコンサル業については知る由もないが)。

「報道ステーション」でほぼ丸一年、「とくダネ!」で約5年半コメンテーターを務め、自身がナビゲーターを務めるラジオ番組はなんと16年以上続いている。コメントの専門性を疑問視する声はあったかもしれないが、しかしそれはメディアに露出する人間であれば大なり小なりあるものだ。
結果として彼はこれまで、継続的に自らを価値あるものとして提示し続けることに成功していた。そこにはそれなり以上の努力が必要だったはずだ。

容姿や服装、清潔感、声といった要素は言うまでもなく、ニュースのコメンテーターを無難にこなす程度には時事について幅広い情報をカバーしていた。
英会話についても多くの番組に出演していたようだ。
ショーンKさんの英語をフィリピン人英語講師に聞かせてみた | サウスピークのセブ島語学留学日誌

なんだろう、ここまで来ると別にもうそれはそれで良いんじゃないかという気がしてくる。というか虚偽の学歴を疑わせないほどの自己プロデュース力の高さに、俺も見習ったほうがいいのではという思いすらする。なにせ完全に成功した事例が目の前にあったのだ。

氏の経歴を前提としたセミナーなどについては擁護できないが、コメンテーターとしては別に需要があればそれでよいのではないだろうか。発言に誤りがあれば堂々と誰かが論破してしまえばいいのであって。ダメか。

多分俺は疲れてしまっていたのだ。芸人の素人コメントか極論かの二者択一ばかりのテレビメディアに対して。その中で彼のコメントは、自らが強い専門性を持たぬがゆえに、俺が無意識に求めていたリベラルな穏健派の位置にすっぽりと収まっていてくれたのだろう。


(2016.03.21追記)
ショーンK氏がラジオで涙の謝罪 4分間で語ったこと【全文】